年始は長野から

  • 2016.01.11 Monday
  • 18:39

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遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

今年も年始の休みを利用して、長野を訪れました。

本来の目的は、東山魁夷美術館です。今年は当館の年間パスポート会員になって4月から6期間ごとに定期的に訪れて、魁夷の絵に向き合ってみようという試みをしてきました。現在その5期目にあたります。

自分の感覚や、気分によってむらがあったのは否めないですが、何度も訪れるうちにそれが適切かどうかは別として自分なりの絵の見方が定まってきたと感じます。
考えてみたら、自分が音楽をする際の過程の、作曲家の生涯と周辺環境を見直し、その作品の年齢と経緯などから作曲家のその時の姿を物語にすることは、絵の見方ともリンクしていて、逆に魁夷の作品を見るうちにその方法の裏付けをとったとも言えます。
一点は、絵を描く手順、設計図を意識してみること。ある風景画を見るときに、絵の具の重ね方から想像して、この山の重い色の部分から絵の具を乗せ始めて、次は空、縦の樹木、いや逆かな、大きい部分を仮描きしてから少しずつその地合いの境を埋めていきつつ、細かい描写を埋めていっていったのだろうか。舞っている無数の葉は、とても自由で、ここは楽しんでいるな、などと考えてみるようになりました。その前提がスケッチと習作および下図で、すでにスケッチの時点でその設計図は決まっていて、習作はその手順の確認と新しい試みの検証の時間なのだなと認識しました。
その設計図や色の重ね方による手順は、曲特にバッハやイザイの無伴奏曲を分析して遠近感やテンポ感を刻んでいくことと極めて共通していると気が付いたことに寄ります。設計され、逆算された60歳代の魁夷の作品は、その意味でバッハの音楽のように思えました。

もう一点は、作曲家と同じく年齢によるスタイルの変化。
例えば、魁夷の「スケッチ」作品は、20〜30歳台のものと50〜60歳台のものと、やはり全く異なっていると次第に気が付きました。
ピックアップすると、20代のころは、純粋に既存のテクニックの練習のため、もしくは単にスケッチの意図のため、30代のころは巧みだがそのテクニックが混沌としていて、自分なりのスタイルを探しているのか、人生の岐路のような焦りが感じられます。
魁夷にもやはりこんな苦労した過程があるのだな、と自分のことと照らし合わせて共感を覚えました。あくまで勝手な想像ですが。

今期5期目のテーマは「馬車よ、ゆっくり走れ」。
魁夷が61歳の時である1969年にドイツ、オーストリアを再訪した際の作品群が主に展示されています。
主にスケッチと習作と数点の本作品でしたが、見ていてとてもエネルギーを使います。

もはや実力と立場共にゆるぎないものとなり、その上で自己の再確認のための旅先。
このころのスケッチ作品は、自分の描きたい絵がもう決まっていて、かつそれをどう描くのが適切かが確立されていて、望んでいた再訪先というのもあり、安心感と自由自在な印象を覚えます。
一番見ていて緊張するのはある意味「習作」で、大きいサイズの本作はどちらかと言えば、覚悟や気迫の方を感じますが、その上で、本作で初めて描きたい意図のポイントやゾーンが加えられた点が見えた時は、ドキッとするか鱗が落ちたような感覚を覚えたりします。
60歳代で確立されたスタイルを、魁夷は70歳過ぎて「白馬」シリーズで新しい風をいれ、さらに晩年はそれまでのスタイルを壊そうとしているように思えます。これも大作曲家の過程と共通します。

3月ごろに今一度この美術館を訪れますが、今後も続けることでしょう。
それだけ得るものが大きかった。

後は恒例の地獄谷の猿と戸隠神社へ。
暖冬のため、まだ雪は少ないです。
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ヴァイオリン教室
Jun Tomono VIOLIN SCHULE
http://jt-violin.com/index.html


 
コメント
管理者の承認待ちコメントです。
  • -
  • 2016/02/16 1:14 PM
あけましておめでとうございます。
お父様のfacebookからいつもお邪魔させていただいております。
いつも、、楽しませていただきありがとうございます。
いつも、たくさんの写真を撮りながら、いろんなことに思いを馳せ、
進む道を極めようとしているお姿には敬意の念でいっぱいです。
今日は、厚かましいとは思いながら、、なかでもとても素敵な写真に
であったのでひとことお礼かたがたコメントさせていただきました。
文章の下、、11枚目の写真、、とてもステキです。
今年もなにかいいことが起きそうな、そんな感じ、、。
あくまでつたない私見ですけど、、(笑)
ありがとうございました。
くれぐれも、お体をご自愛なさって、ご活躍下さい。
  • 宮内 文子
  • 2016/01/13 3:28 PM
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