ヴァイオリニストのお勉強

  • 2013.12.06 Friday
  • 01:34
10年以上前、一般大学に通いながら音楽の勉強、特に受験のためにヴァイオリンを本格的に始めた当初は、まず曲をかたちにすることばかりを考えた。

よくあることだが浅はかにもすぐ考えたことは、「うまいヴァイオリニストのように弾けばいいのか!」ということだ。

なので、とりあえず課題とする曲の大家のヴァイオリニストのCDを何枚も(多くて15枚)買って聴いては真似しようとした。
それはたいていの場合うまくいかない。簡単なことでテクニックや方法を知らないからだ。身体の違いのこともある。
要するにお馬鹿さんの勉強方法だったわけだ。

音大に通うようになってから、そういった方法はいつの間にかやめていたが、何故だかはよく覚えていない。
とりあえず意図的に他の演奏家についての情報を入れないようにしていた。いざというときには頼ってしまったが。
その方法の限界にすぐぶち当たったのだろうし、違う視点で新たな課題を見つけたのだろう。
覚えているのは、当時課題の曲以外はひたすら音階とドントのエチュード(時にはパガニーニ)を教材に左手の形、使い方、とくに小指を自分の意図したコントロールができるかをひたすら練習していた気がする。小指を含めた左手のシステムが出来ていないことを自覚したのだった。それを自分なりの方法で解決することを考えていた。
あとは発音、音色について。
幸か不幸か、自分の近くにいた楽器に関わる方(ヴァイオリン弾きではない)に、ある大家のヴァイオリニストの音色について、洗脳と言っていいほど話を聞かされ続けてきたので、そのヴァイオリニストに関して発音と音の中身については意識的に作ってきたし、これは基本的なこととして今でも大きい武器になっている。ヨーロッパでは「日本人でこんな音を出す人はほとんどいないだろうね」と言われた。
周りからみたら、難しい曲をバリバリ練習している中で、開放弦とスケールを1音ずつ何度も弾いている変なやつだと思われていただろう。
地味な時間の使い方であったが、今の自分があるのはこの時間のおかげだ。
それを2年〜3年間続けてから、次第にフレージングについて身体に入れる時間を作り始めたと思う。


この話はまた長くなるだろうし、まだまだ勉強が足りないので省くが、自分の現在のヒントはいくつかある。
声楽的見方、バロックもしくはそれ以前からの音楽の切り口、言葉の違いによる発音とリズム感。
そしてこのためには、ずいぶん遠回りだが今一度歴史をたどらなければならない。
文化はその上にある。長い道のりだ。

ヨーロッパでヴァイオリンを学ぶ際、先生方は程度の差はあれ、その作曲者がどんな時代の人物だったか、どんな性格であったか、どんな生活を送っていたか、その国がどんな状況にあったかなどを、先生方本人の経験から広げて話をする。それを前提として音楽をつくる作業に入る。これらの情報を含めて伝統的な音楽として教える。
自分たちは残念ながら、生活体験ではそれを語ることは出来ないが、より多くの情報からそれに近づき、先回りしておくことはできるかもしれない。

さて学生の時は、基礎を積むことと引き換えに、意図的に大家の情報を避けた。
が、最近は「ヴァイオリニスト」の勉強をしても大丈夫かな、と思えるようになってきた。
結局、基本的な楽器の弾き方を突き詰めることやオーソドックスな音楽の作り方や伝統的な技術の延長上に個性的なヴァイオリニストたちが生まれているということが、少しずつ実感できるようになったからであろう。

大事なことは、先人の弾く音を真似したり表面のラインをなぞることができるかではなく、その方法や意図をどれだけ自分なりに読み取り解釈できるか、その上で自分はどう弾くか、だったのだ。

前回、身体の作り方のことでも書いたが、音楽作りもやはり破壊と再生の繰り返しだ。
完成という状態はなく、その材料はいくらでもある。
自身の原則であるべきだし、自分が生徒へ教える際のひとつの方法でもある。

逆の見方をすればこの言葉も相応しい。


月満ちれば則ち欠けるなり。


ただし、再び満ちるのことも必然である。
先日、とある場所でおみくじをひいて、中々良い言葉をいただいた。
IMG_9485.JPG



ヴァイオリンの寺子屋
Jun Tomono VIOLIN SCHULE


 
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